自分の中から学びを創る

既にあるものに合わせるのではなく、自分に合わせた学びを自らデザインする。
それがTDU・雫穿大学で大事にしている学びのあり方です。

全ての講座・プロジェクトで、学生は自分たちが何を望んでいるかを知ることから始めます。他の学生・スタッフとの話し合いの中でお互いの関心を明確にし、それを実現する方法も一緒に考え、創り合っていきます。

様々な講座・プロジェクト

TDU・雫穿大学には、学生たちの中の興味・関心から生まれた約30の講座・プロジェクトがあります。
ここでは、その一部を紹介します。

「知る」

学歴社会・不登校講座

学校経験や不登校経験を通じて作られ、私たちの中に根づいている考え方・価値観を問い直す講座です。学歴社会に至る教育の歴史、 学歴が関わる社会の仕組み・事柄、不登校の歴史やその周囲の環境等を学んだり、学歴社会・不登校にまつわる個々人の経験や葛藤などを共有し議論しています。それはこの社会で生きてきた自分は何者なのかを捉えていくことにも繋がっていきます。

デザイン講座

チラシ・パンフレット・カレンダー・名刺・メッセージカードなど紙物のビジュアルデザインを主に学び、実践していく講座です。1年間ある講座のうち、約半分の回で色彩や平面構成などデザインをする上で役に立つ知識や考え方をワークショップ形式で学び、残り半分の回でカレンダーや名刺などを学生それぞれが実際に制作し、デザインの感覚と技術を身につけていきます。

哲学講座

西洋哲学や日本哲学を、哲学史や哲学者の著作などを通して学んでいます。これまでは、様々な哲学者が提示したそれぞれの「命題」を個々に取り上げ、分析・解説した『命題コレクション 哲学』をテキストに学んだり、アドバイザーだった故小阪修平さんの著作で、哲学史の流れにそって西洋哲学を学べる『イラスト西洋哲学史』をテキストにしたりしています。

研究ゼミ

自分研究、当事者研究が中心にある講座です。学生が書いた当事者研究の論文は、毎年紀要にまとめ、外部にも公開する研究イベントで発表しています。不登校やひきこもり経験で得た苦しさはもちろん、「ロスト青春」「人が怖い」「孤独感」「働く辛さ」など自身の切実な関心をテーマに研究を進めています。また、研究のやり方を学ぶワークショップもあります。

「表現する」

美術講座

美術講座の大きな軸の一つは、毎年2月中頃に行う絵画展に向けた絵の制作です。絵画展では、日本画の描き方、考え方を大事にしています。「西洋絵画の絵こそが王道・正解」と感じてしまう自分たちの中の縛りから解放されて、表現をやりやすくする試みです。ここ数年は「季節を感じて描く日本画」に挑戦しています。また、様々なワークショップも行っています。多色刷りの木版画や彫塑、銅版画や木炭デッサンを行うワークショップ、美術の歴史や一人の画家を深く知る回もあります。

映像プロジェクト

映像プロジェクトは開始当初から、映像のプロフェッショナルに映像制作の基礎を教えてもらうなど、技術や方法を少しずつ積み重ねてきました。今では、かつてプロジェクトに参加し、現在は映像を仕事にしている卒業生にも講師役を頼みながらワークショップで学び、映像作品制作などを行なっています。最近も「ビデオカメラ・デジタル一眼カメラの使い方」「スマホで作るセルフポートレート」「編集ソフトの使い方」「マイクを活かした録音技術」など様々な関心に基づく内容を深めています。

演劇プロジェクト

演劇プロジェクト(なんあり企画)は、自分たちの切実な思いを表現したいという学生の思いから始まりました。一人一人の納得を大事にしながら「集団創作」という形で演劇表現を作っています。古今東西の古典作品を原作とすることも、現代を舞台にしたオリジナル脚本で演劇をつくることもあります。また、演劇全体の質も高めたいと、演出家、役者、舞台美術家、照明家、衣装家などのプロの演劇人にワークショップなどで関わって頂き、演劇の技術の蓄積もしています。

「働く/生きるを創る」

ライフスタイル研究会

今の日本社会では、小中高大就職という一般的な生き方以外を想像しづらくなってしまうことがあります。そんな中でもレールに囚われ自分をすり減らすことのない生き方を模索する研究会です。学生だけでなく希望する卒業生も一緒に国内外の様々な生き方・働き方の事例に触れ、どう生きたいかに関わるテーマについて調べ、ディスカッションしています。「協同労働で働く人の経験談」「未経験のことにどう取り組みやすくなるか」「新しく出会う人とどう仲良くなれるのか」など、様々なテーマを取り上げています。

「仕事を知る」講座

この講座は、「職場での人間関係への怖さや緊張がある」「そもそもどう働いたらいいかわからない」という学生の声から始まりました。実際のいろんな仕事を具体的に知ったり、働くことや仕事に関わるそれぞれが抱える不安をテーマにディスカッションすることを通し、自分の望む形で仕事や働くことに近づきやすくしようとしています。最近は、今実際に働いている雫穿大学卒業生の仕事の体験を聞いたり、仕事の怖さ・やりづらさを話し合ったり、「働くとは何か」をディスカッションしたりしています。

パイロット・プロジェクト

「パイロット・プロジェクト」は講座ではなく、大学の学びを通して経験を積み重ねている分野で、お金を得る経験をしていこうというプロジェクトです。大学の安心できる環境で、必要に応じて専門家のアドバイスを得ながら、ビジネスプランを立て制作をし、クライアントに仕事を納めます。現在は映像、デザイン、ホームページなどの制作が主です。この他にもインターンシップも経験できます。これらのプログラムからの収入を学費や生活費の一部に当てている学生もいます。