深刻な「大学の不登校」

大学の不登校人数

現在、大学の不登校の学生が大勢います。文科省は小学校から高校までしか統計を取っていませんが、全国に数万人から10万人余の大学の不登校の学生がいると考えられています。2008年の調査では大学の長期欠席者は4.41%おり、2023年の大学生数263.3万人で計算すると約12万人長期欠席者がいることになります。そのうち不登校の人数は3.03%で同様に計算すると約8万人の不登校の大学生がいることになります。

※(厚生労働省「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究」2008年)

大学の不登校の背景

大学の不登校は増加していると考えられます。
その理由の一つは小中の不登校が増え続けていることです。2022年度の不登校人数は約30万人でした。かつてと違い、小中で不登校を経験した人たちの多くは高校に進学しています。

各都道府県で不登校の子どもを主な対象とした高校が作られていたり、単位制、広域通信制など少子化で子どもの人数が減り続ける中、増え続ける不登校の子どもを対象とした高校が増えたからです。従って、大学に進学する不登校経験者も増えているのです。

不登校はかつてに比べると強制的に登校させられることが減ったり、教育機会確保法などができ、社会の理解や受け入れは一定程度進んだと言えます。しかし、不登校経験した子どもが「繊細」「弱い」「怠けている」など個人に原因を帰する見方が今も少なくありません。不登校を経験する子どもたちは、「自分は弱いのではないか」「逃げいているのではないか」などど自己否定感を持たざるを得ないことが多いのです。このような自己否定感を抱いて、大学に進学せざるをえないことは珍しくありません。

さらに、大学は高校までと違って学級制、担任制ではありません。学生同士の関係も希薄になり得る環境です。小中高までの環境では何とかやってきても、この環境で人間関係がつくりにくいと感じる人も出てきます。また、就活という大きな試練で希望する職につけず、何度となく希望が跳ね返される経験が自分を否定されているように感じ、大学で不登校を始める人もいます。

大学で不登校を経験する

現在では出席がデジタルデータで記録されている大学が少なくありません。1人ひとりの学生の出欠状況が授業担当教員にわかるようになっています。例えば、3回欠席が続くと本人にメールが行き、それでも欠席が続くと親に連絡が行くという具合です。出席状況が学校側に把握されると学生相談室を案内されることは多くあります。

しかし、小中学校などの保健室より学生相談室は遠く感じられ、不登校をしているのに大学に行って相談室に行くということは結構ハードルの高いことに感じられます。また、小中高の不登校だと、フリースクールを探して行くという人も結構いますが、大学の不登校の場合は難しそうに感じられます。行政で行っているひきこもり対策は就労指導が多く、「いきなり就労指導では今の自分には合わない」と感じる場合も少なくありません。

大切なこと

大学に行かなくなるまでに行く努力をすることは多くあります。もう、どうしてもいけないと感じて「行かない生活」になった時、無理に何かを始めることはあいません。そういう場合、まず休むことが大事です。休学をするという選択もあります。

大学に行っていないのだから働かなければいけないと、アルバイトや就職先を見つけようとする人もいます。しかし、自分がどういう仕事に関心があるのか、どんな風に働きたいのかがわからないまま頑張って働くと無理が重なり、その仕事が続かず自己否定が積み重なってしまうことも有ります。

まず、自分がどんなことに関心があり、どんな環境だと働きやすいのかなど自分を知ることは自分に合った職場を見つけやすくなります。また、自分は人より弱いのではないか、大事なことから逃げてしまうのではないかなどのような自己否定感にさいなまれるような場合、自己否定感を解きほぐしていくことも大切です。

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